視点はいろいろ、でも自分は?  『猫丸先輩の推測』『猫丸先輩の空論』 著/倉知淳

猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

猫丸先輩の空論 (講談社文庫)

猫丸先輩の空論 (講談社文庫)


ちょっとしたことでも視点を変えるだけでずいぶんと違う意味合いを持つことってありますよね。
例えば、大学のテストシーズンに必死に勉強している人がいます。この人は頑張っているのでしょう。真面目な努力家なのかもしれません。しかし見方を変えれば、そんなに必死になって勉強しなければならないほど、普段の講義を真面目に受けていなかったり、日頃勉強から程遠い生活を送っている、あるいは単位を落としすぎて一つも取りこぼせないほど切羽詰っている、という人なのかもしれません。こうなると真面目な努力家とは程遠いですよね。
人の見方だけでなく、他にも多々あります。例えば、渋滞が発生したとき、人に会うといった予定がある人ならば決して良い思いはしませんが、一方で、時間制で値段を設定しているタクシーの運転手はほくそえんでいたり、あるいは、授業をサボりたいバス通学の学生は合法的に遅刻できてラッキーと思ったり、まあ物事の印象が人によって違うのは当たり前ですが、意外と盲点になっていることは多いものです。「自分は一般人の代表……」なんて思っている人ほど、日常に見落としがあったりするかもしれませんね。
例を挙げればきりがないですが、これ以上は冗長過ぎるのでこのくらいで。


今さら何を? ってかんじの駄文が長くなってしまいましたが、『猫丸先輩の推測』『猫丸先輩の空論』は日常の視点の変化を見せてくれる平和な本格ミステリです。童顔で仔猫じみたまん丸の大きな目をもつ猫丸先輩の快刀乱麻(?)の推理劇が楽しめます。短編集なので、基本的にどの話からでも読めますし、なるほどと思わせる話ばかりですよ。
私個人の感想としては
『おもしろいなぁ』『へぇ』『なるほどぉ』
とかそんなのばかりです(なんか、すいません)。比較的軽い文体ですし、これならあまりミステリに慣れていない方でも読みやすいのではないしょうか。
というわけで、著・倉知淳『猫丸先輩の推測』『猫丸先輩の空論』の紹介でした。
(とある畜大生)
※スタッフより:この本は企画展示「学生図書購入ツアーで選んだ本」のコーナーにあります。早い者勝ちですよー(笑)