本の読み時

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

 
  これまで、このブログでしきりに青春時代に本を読みましょうと書いたけど、まるで私(ワタクシ)的に言わせてもらうと、何でも良いというわけではもちろんなく、作品によって人生で折々の読み時と言うのがあると思うのです。中学・高校で私達の時代まず洗礼を受けたトルストイドストエフスキーといった文豪の作品「アンナ・カレーニナ」や「罪と罰」等は、あまりに重く、長く、深くて何度も行きつ戻りつして最後までは読み切れず、ダイジェスト版によって一応読破したつもりになったのですが、こういった原作はやはり体力のあるうちでないと読めないと今にしてつくづく思います。かといって「風と共に去りぬ」(マーガレット ミッチェル)などは、食事時になっても本を手離せず夢中になって2日で読み切ったのですから(今思うとスゴイ体力ですよね!)、やはりストーリーに惹かれて読めても深いものを読み切るには若すぎたとも言えるのでしょうね。
 たまたま読んだある他大学ライブラリアンの言葉に、読書によって培われる何かとは、忍耐力、集中力、理解力、批判的思考力、そして想像力とありました。すべて合点が行くものです。感受性や読む時期、読むものにより個人差は当然あるでしょうが、読書することによって得られるものはけっして小さくはないはずです。        
風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

 今、巷には一生かかっても読み切れないほどの様々な媒体による出版物があふれて何を読んで良いのやら本当に迷わされますが、そんな既成の価値観が揺らいでいる不安定ないまどき、「カラマーゾフの兄弟」がまた脚光を浴びてるそうですね。混沌とした時代だからこそ心に沿うものがあるのでしょうか。
 それらはともかくとして、まず一度「時空を超えて名作と謳われたもの」を手に取ってみませんか。それは歳を重ねるにつけ諸々に追われ時間も取れなくて二度と読めないかもしれませんし、記憶の彼方となったとしても一生の心の宝になるかもしれません。

 今年の猛暑はいまだ残暑としてしぶとく居残ってますが、カレンダーは確実に秋を告げてます。青春という言葉が好きな人もそうでない人も二度とないこの人生の季節(とき)に、心に残る読書の秋をすごしてみませんか。
(ミニカ)
※これらの本は附属図書館1階南閲覧室の文庫本コーナーの棚にあります。