弱いけど強い 『獣の樹/舞城王太郎』

獣の樹 (講談社ノベルス)

獣の樹 (講談社ノベルス)

人間一人の力というのは弱いですね。どんな力の強くでも、どんなに権力を持っても、どんなにお金を持っても、ほんの一瞬の出来事であっけなく命が尽きてしまう。先日のような大災害があれば、人間の小ささを感じずに入られません。
ですが同時に、人が与える影響力というのは果てしなく大きく、強いものだとも実感します。何万人という被害の中、たった一人の救出劇に欣喜雀躍の思いを抱くことができるのはなんとも不思議です。先日開幕した選抜高校野球大会で、東北高校や水城高校、光星学園高校など被災地の選手たちの活躍を見届けたいという意識が自然と芽生えるのは私だけでしょうか。またそう思うことで何か行動をしたいと考える私がいたりします。
私はわりと簡単に人に影響される人間なので、出会いがあればすぐに感情が動き出すのですが、そういうことは置いておいても出会いというのはすごいことですよね。直接的でなくとも、画面や文字を通しての間接的な出会いの中で心動かされ、身体も動かされることがあります。
思い起せば、私の人生も何気ない出会いの中に大きな岐路がありました。たった一人との偶然の出会い、たった数秒の、誤差のような時間の差異で起こった出会い、ほんの少しの気分の違いで起こった出会い、それら全てが今の私を動かす糧であり、同時に枷でもあり、これからの私を形成していきます。そんなふうに思うと、一人の人の持つ力の大きさがよくわかります。私自身も誰かに影響され、誰かを影響し、その奇跡的な繰り返しの中で今の世界を成り立たせている一人。誰かにとって決して良い影響ばかりではないでしょうけど、決して糧になるようなことだけではないしょうけど、私が少しでも人に影響を与えることができているのであれば、今を生きたいと思う原動力になりそうです。
今回被災された多くの方は、辛く苦しい時間を過ごされていることと思います。それでもなんとか今を耐え凌いで、多くの人に良い影響を与えられるように、少しでも長くこれからを生きて欲しいです。力ない私にできることがほとんど何もないくらい小さいという現状で、それは心苦しい限りですが、本当に先の見えない中にいる被災者の方々、昼夜問わず作業をしておられる方々の無事と健康を、そして東北地方の一日も早い復興を心から願います。




本の紹介です。『獣の樹』はなかなかの超展開が面白い小説です。途中、人の影響力って何だろうな、と私は考えたりしたり。まあそんな私情は置いておいておくとしても、量が多い作品ですが、一度読まれてはいかがでしょうか。なんだか薄っぺらい紹介ですが、面白いのは本当ですからね。


…………最後まで変な文章を書いてすいませんでした。
結局一度もまともな本の紹介をしなかった私ですが、許可がいただけるのなら、これからもちょくちょく書いてみたいなぁ、なんて。読書プロジェクトに関わった時間は短かったですが、とても充実した時間を過ごすことができました。本当に有難うございました。
失礼致しました。
(とある畜大生)

 

※「とある畜大生」さんは、実はこの春で畜大をご卒業です。今まで沢山の本のご紹介をありがとうございました。洒脱で飄々とした文章には密かなファンも沢山いたとかいないとか(笑)。当プロジェクトは緩〜く長〜く本と人との繋がりを保って行くのが目的ですので、ご卒業後の投稿ももちろんお待ちしています。
改めて。…ご卒業おめでとうございます!(残留スタッフ一同)