本格ミステリーと思い込み 『葉桜の季節に君を想うということ/著・歌野晶午』

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

先日、こんなことがありました。
ぼんやり自転車を漕いでいると、ポニーテールの人が私の前を歩いていました。ティーシャツに、ハーフパンツ、サンダルといういかにも夏らしい服装でした。
遠くから見れば女の人の後姿かと思ったのですが、その人との距離が縮まってみると、けっこうゴツイ体つきだったのです。引き締まったたくましい生脚も見えました。


……男か。紛らわしい。


ポニーテールの後姿(遠目)がなんとなく可愛らしく見えたので、多少の期待を抱いた私は裏切られた気分になりました。
「なんだよぅ」と思わず独り言。
その声が思いのほか大きかったのでしょうか。不意に後ろを行く私のほうへ、その人が一瞬、振り返ったのです。


……あれ?


ずいぶんと化粧気のある顔のように見えました。まさか、という思いが過ぎりました。その時はすでに前を向きなおしており、ポニーテールの後ろ姿だけで、顔は見えません。
「こうなったら、確認するしかない」と小さな決意を胸に私はペダルを漕いで、その人を追い抜きました。
その際に、ちらりと一瞥。


胸あるじゃん!!!!!


そう、ポニーテールのゴツイ後姿の人は女性だったのです。ごめんなさい、ごめんなさい、御免なさい、本当にすいません。もうあなたを決して男とは思いません。
心の中で、何度も誤りました。そして思いました。


せめて、その、脚に見えるすね毛をどうにかしてください!



思い込みは恐ろしいですね。後姿で性別を誤るとは……
すいません、本とは関係ないことを長々と。要は、思い込めばいろいろなことがあるという例えでして(汗
決してブログの私物化ではありません(汗汗涙



というわけで、本の紹介です。
愛し愛され、騙し騙され、騙って語って集って、妬かれ焼かれ焼くぞヤクザ、という感じの作品です。
いや、何を言ってるんでしょうね、私は……。でも何か言いたくなる本です。オススメです。『葉桜の季節に君を想うということ』は本格ミステリー大賞受賞作のミステリーです。
思い込まされますよ。いろいろと。
知っている方も多いと思いますが、読んでない方はぜひご一読を。

私個人の感想としては、読み終わってから、
『なんというやつらだ……』
と思いました。あ、でも決して化け物が出てくるわけでもなく、主人公が特殊な能力を持っているとか、そんなことでもありません(私は、ある意味、特殊だと感じたのですが……)
至って現実的なお話です。たぶん。


あまり言うと、これから読まれる方が読む気を失くしそうなのでこのあたりで。
勉強や研究やその他活動の息抜きに、一度、騙されてみてくださいな。

ということで、『葉桜の季節に君を想うということ/著・歌野晶午』の紹介でした。

(とある畜大生)

※図書館スタッフより:『葉桜〜』は現在、附属図書館でも受入準備中です。利用できるようになったらこのブログでお知らせします。
 → 利用可能になりました!企画展示「学生図書購入ツアーで選んだ本」のコーナーにあります。
(「ぜったい騙される」と評判のミステリなので私も楽しみ!)